生前にやること、何から?——相続を勉強して分かった4つの順番

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相続

生前にやること、何から?——相続を勉強して分かった4つの順番

「親の相続に備えたほうがいいのは分かる。でも、何から始めればいいの?」

相続のことを調べると、遺言書、贈与、家族信託、生命保険……と、やることがたくさん出てきます。全部を一度に考えようとすると、手が止まってしまいます。

私は宅建士として、この数か月、相続の勉強を続けてきました。この記事では、その中で分かった生前にやること4つと、どの順番で進めるかをまとめます。

この記事の結論

  • 生前にやることは、家族の話し合い、財産目録づくり、税金の試算、遺言書の4つ
  • いちばん最初にやるのは、家族の話し合い。書類より先に、親の気持ちを聞く
  • そのあとは、何があるか知る → 税金がいくらか知る → 分け方を決めて遺言書にする、の流れが進めやすい
  • 相続対策は、早く始めるほど打てる手が増える。そして元気に長生きすることが、いちばんの対策になる

生前にやること4つ

まず、全体を表にします。

やること何をするか誰とやるか
① 家族の話し合い親がどうしたいか、家族がどう思っているかを聞く親・きょうだい
② 財産目録づくり預金・不動産・保険・借金などを一覧にする親(家族が手伝う)
③ 税金の試算相続税がかかるか、いくらくらいかを知る税理士
④ 遺言書誰に何を残すかを、正式な形で残す親(公証人・専門家)

「相続対策」というと、③の節税や④の遺言書を思い浮かべる人が多いと思います。でも、勉強してみて分かったのは、①と②がないと、③と④は進められないということです。

1番目は「家族の話し合い」

私がいちばん最初に置きたいのは、家族の話し合いです。

理由は、相続の書類はどれも、親が「どうしたいか」が決まっていないと書けないからです。

  • 実家を、誰かに継いでほしいのか、売ってもいいのか
  • 介護が必要になったら、家で暮らしたいのか、施設も考えているのか
  • 子どもたちに、どう分けたいと思っているのか

介護を担う家族がいるなら、そのこともこの場で話しておきたいことの1つです。介護した分が相続でどう扱われるかは「介護した分は相続で報われる?」にまとめています。

こうした親の気持ちを知らないまま財産の一覧や遺言書を作っても、「そんなつもりじゃなかった」となりかねません。

話し合いといっても、最初から「相続の話をしよう」と構える必要はありません。帰省したときに「この家、これからどうしたい?」と聞くくらいで十分です。話の切り出し方は「親の財産 相続前に話し合う方法」にまとめています。

2番目からの流れ——知る、計る、決める

話し合いのあとの3つには、決まった正解の順番はありません。家によって、急ぐものが違うからです。

ただ、勉強して整理すると、次の流れで進めると迷いが少ないと感じました。

② 財産目録づくり——何があるかを知る

財産目録は、親の財産と借金を一覧にした表です。

種類書いておくこと
預金銀行名・支店・おおよその残高
不動産所在地・種類(自宅・土地・アパートなど)
生命保険保険会社・受取人
株・投資信託証券会社
借金・ローン借入先・残高

不動産は、毎年届く固定資産税の課税明細書を見ると、持っている土地と建物が分かります。

完璧な一覧でなくて大丈夫です。まずは「どこに、何があるか」が分かれば、次に進めます。

③ 税金の試算——いくらかかるかを知る

財産の全体が見えたら、相続税がかかるかどうかを確かめます。

相続税には、基礎控除(ここまでは税金がかからない、という枠)があります。

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、相続人が子ども2人なら、3,000万円+600万円×2人=4,200万円までは相続税がかかりません。実際に相続税がかかるのは、亡くなった人の約10%(10人に1人)です。

ただし、不動産の評価は複雑です。土地の形や使い方で評価が大きく変わるので、財産に不動産が多い家は、税理士に試算してもらいましょう。試算してみて「うちはかからない」と分かれば、それだけで安心できます。

相続税がかかるかの目安は「相続税の申告は必要?」にまとめています。

④ 遺言書——分け方を決めて残す

何があって、税金がいくらかかるかが分かると、誰に何を残すかを決めやすくなります。それを正式な形で残すのが遺言書です。

遺言書は、親本人が、内容を理解して判断できるうちにしか書けません。認知症が進んでからでは、書けなくなることがあります。

遺言書には3つの種類があり、それぞれ向き不向きがあります。「遺言書は3種類」で、選び方を比べました。

私が伝えたいこと——早く始めること、そして元気に長生きすること

相続対策は、早いほうが有効

勉強していちばん強く感じたのは、相続対策は、早く始めるほど打てる手が増えるということです。

  • 贈与には時間がかかる:毎年少しずつ贈与する方法は、続けた年数がものを言います。しかも2024年から、亡くなる前の贈与を相続税の計算に戻す期間が、3年から段階的に7年まで延びるルールに変わりました(詳しくは「暦年贈与は相続税対策に有効」)
  • 判断できるうちしかできないことがある:遺言書、贈与、不動産の売却や名義の変更は、親本人が判断できる状態でないとできません
  • 話し合いにも時間がかかる:家族の気持ちは、一度の話し合いではまとまらないことが多いです

「まだ早い」と思っているうちが、いちばん選べることが多い時期です。

そして、元気に長生きすること

もうひとつ、理学療法士として伝えたいことがあります。

親が元気に長生きすることも、立派な相続対策だということです。

元気でいる時間が長ければ、家族で話し合う時間も、贈与を続ける年数も、自分で判断できる期間も長くなります。

相続の準備と同じくらい、親が転ばない家にする、動ける体を保つことも大切にしてほしいと思っています。

よくある質問

生前の相続対策は、何歳から始めればいいですか?

決まった年齢はありませんが、親が元気で、自分で判断できるうちに始めるのが基本です。早く始めるほど、贈与などの打てる手が増えます。

財産目録は、家族が勝手に作ってもいいですか?

親の財産なので、親本人と一緒に作るのが基本です。家族が手伝って、親が確認する形にすると進めやすくなります。

相続税がかからない家でも、対策は必要ですか?

必要です。相続税がかからなくても、誰が実家を継ぐかや預金の分け方で家族がもめることはあります。話し合いと遺言書は、税金の有無に関係なく役に立ちます。

税金の試算は、誰に頼めばいいですか?

相続税に詳しい税理士です。ふだん付き合いのある顧問税理士がいても、相続は別の税理士に見積もりを取ってかまいません(「顧問税理士がいても、相続は別に見積もりを取っていい」)。

この記事のまとめ

  • 生前にやることは、家族の話し合い・財産目録・税金の試算・遺言書の4つ
  • いちばん最初は家族の話し合い。親の気持ちが分からないと、書類は作れない
  • そのあとは、何があるか知る → 税金を知る → 分け方を決めるの流れが進めやすい
  • 相続対策は早く始めるほど有効。そして元気に長生きすることが、いちばんの対策

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けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。