住宅改修の20万円がもう一度使える「3段階リセット」——要介護度で数えると間違えます 介護リフォーム

住宅改修の20万円がもう一度使える「3段階リセット」——要介護度で数えると間違えます

介護保険の住宅改修費は、上限20万円。よく「一生に1回だけ」と説明されます。

でも実は、もう一度使える条件があります。そのひとつが「3段階リセット」です。

ただ——この「3段階」の数え方を、多くの方が間違えています。

要介護1から要介護4になったから3段階。そう思っていませんか。この例は正解なのですが、同じ考え方で数えると間違えるケースがあります。

訪問リハビリの現場で、ケアマネさんや家族と何度もこの話をしてきました。今日は、表で整理します。

この記事の結論

  • 住宅改修の20万円は、条件を満たせばもう一度使える
  • リセットは「転居」「3段階以上の重度化」の2種類
  • ⭐️ 「3段階」は要介護度ではなく、「介護の必要の程度」という6段階で数える
  • 要支援2と要介護1は、同じ段階(ここでつまずく人が多い)
  • ⚠️ 初回の改修時に要介護3以上だった方は、3段階リセットは使えません
  • ⚠️ 3段階リセットが使えるのは、1人1回だけです(転居リセットには回数の定めがありません)
  • 実務では、転居リセットのほうが現実的に使われています

1. リセットは2種類あります

まず全体像から。20万円の枠が、もう一度ゼロから使えるようになるのは、この2つの場合です。

条件使える回数
① 転居リセット引っ越して、住む家が変わったとき住民票の住所ごと(回数の定めなし)
② 3段階リセット介護の必要の程度が、3段階以上重くなったとき1人1回だけ

①は分かりやすいです。家が変われば、その家に合わせた改修が必要になるので、当然といえば当然です。

問題は②です。


2. ⭐️ 「3段階」は、要介護度で数えません

ここが今日いちばん大事なところです。

要介護度は、軽いほうから 要支援1・要支援2・要介護1〜5 の7区分ですよね。この7つで数えたくなります。

でも住宅改修で使うのは、「介護の必要の程度」という別の区分です。こちらは6段階です。

段階要介護度
第1段階要支援1
第2段階要支援2 ・ 要介護1同じ段階
第3段階要介護2
第4段階要介護3
第5段階要介護4
第6段階要介護5

要支援2と要介護1が、同じ第2段階です。

自治体の手引きでも、「要支援2と要介護1は1つの区分として取り扱います」とはっきり書かれています。

これは制度の経緯によるものです。もともと「要介護1」だった区分が、途中で「要支援2」と「要介護1」に分かれました。住宅改修の段階では、分かれる前のまま扱われています。

この1行を知らないと、必ず数え間違えます。


3. 具体例で確認しましょう

上の表を使って、実際に数えてみます。

初回の改修時現在段階の差リセット
要介護1(第2)要介護4(第5)3段階⭕️ 使える
要支援2(第2)要介護4(第5)3段階⭕️ 使える
要支援1(第1)要介護3(第4)3段階⭕️ 使える
要介護2(第3)要介護5(第6)3段階⭕️ 使える
要支援1(第1)要介護2(第3)2段階❌ 使えない
要支援2(第2)要介護3(第4)2段階使えない
要介護1(第2)要介護3(第4)2段階❌ 使えない

下から2番目に注目してください。

「要支援2 → 要介護3」。区分の名前だけ見ると、要支援2→要介護1→要介護2→要介護3で3つ動いているように見えます。

でも段階では第2 → 第4で、2段階リセットされません。

ここが、いちばん多い誤解です。


4. ⚠️ 初回が要介護3以上だと、そもそも使えません

もうひとつ、見落とされがちな点があります。

段階は第6までしかありません。 ということは——

初回の改修時3段階上は
要介護3(第4)第7段階存在しない
要介護4(第5)第8段階存在しない
要介護5(第6)存在しない

初めて住宅改修をしたとき、要介護3以上だった方は、3段階リセットを使えません。

これは制度の構造上、どうにもなりません。

退院直後に要介護4で改修した——こういうケースはとても多いのですが、その方は3段階リセットの対象外になります。

⚠️ この場合、使えるのは転居リセットだけです。ここは知っておいてください。


5. 基準は「初めて支給を受けたとき」の段階です

今の段階から数えるのではありません。

❌ 去年 要介護2 → 今 要介護5 だから3段階
⭕️ 初めて改修費をもらったときが 要介護2 → 今 要介護5 だから3段階

たとえば——

  • 5年前、要支援2のときに手すりを付けた(初回)
  • 3年前、要介護1になった
  • 今年、要介護4になった

この場合、基準は5年前の要支援2(第2段階)です。今が要介護4(第5段階)なので3段階上昇=リセットされます

間の要介護1は関係ありません。 起点は、あくまで最初に支給を受けたときです。


6. 実務では、転居リセットのほうがよく使われます

正直なところを書きます。

3段階も重くなるというのは、相当な変化です。要介護1の方が要介護4になる——歩けていた方が、ほぼ寝たきりに近づくイメージです。

そしてその段階になると、家族はこう考え始めます。

家で見続けるのか、施設を考えるのか。

住宅改修をもう一度するかどうかは、その判断とセットになります。「20万円使えるから改修しよう」と単純にはなりません。

いっぽう転居リセットは、こういう場面で現実的に使われます。

  • 子どもの家に引き取って同居する
  • 1階建ての家に住み替える
  • サービス付き高齢者向け住宅に移る

「介護のために引っ越す」ときは、新しい家の改修に20万円がもう一度使えます。 こちらのほうが、実際の相談は多いです。


7. 使うときの手続き

リセットされても、自動では始まりません。 通常の住宅改修と同じ手続きが必要です。

① ケアマネジャーに相談する
② 「住宅改修が必要な理由書」を作ってもらう
③ 見積もりを取る
④ 市区町村に事前申請する      ← ここを飛ばすと全額自己負担
⑤ 工事
⑥ 領収書等を提出して支給申請

⚠️ 「前にやったから」と省略できるものはありません。 理由書も、事前申請も、もう一度必要です。

理由書については住宅改修の「理由書」は誰が書くのかに、申請から工事完了までにかかる日数退院日が決まってからでは間に合わないにまとめています。

特に②の理由書と④の事前申請は、時間がかかります。 リセットの条件を満たしていても、急いで工事してから申請しても支給されません。


8. 確認するのは、ケアマネさんか市区町村です

「うちはリセットされますか」——これはケアマネジャーに聞くのがいちばん早いです。

初回の改修がいつ、どの介護度だったかは、市区町村に記録が残っています。 ケアマネさんが照会してくれます。

⚠️ ご自身で数えて「使えるはず」と思っても、記録上の起点が違うことがあります。 特に転居や、他の市区町村で改修していた場合は要注意です。

必ず、正式に確認してから工事の話を進めてください。


まとめ

  • 住宅改修の20万円は、転居または3段階以上の重度化でリセットされる
  • ⭐️ 「3段階」は要介護度ではなく、「介護の必要の程度」の6段階で数える
  • 要支援2と要介護1は同じ第2段階。ここでの数え間違いが最も多い
  • ⚠️ 初回が要介護3以上だった方は、3段階リセットは使えない
  • ⚠️ 3段階リセットは、1人1回だけ
  • 起点は「初めて支給を受けたとき」の段階
  • リセットされても、理由書と事前申請はもう一度必要
  • 実務では転居リセットのほうがよく使われる

制度の基本は介護保険の住宅改修費20万円、損しない使い方に、賃貸住宅での注意点は賃貸住宅でも介護の住宅改修はできるにまとめています。

実家の話全体の進め方は「親の家、どうする?」完全ガイドからどうぞ。

なお、この記事は制度の一般的な内容をまとめたものです。運用が市区町村によって異なる場合があります。 実際の判断は、担当のケアマネジャーまたはお住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。

もうひとつのリセット条件については住宅改修の20万円は引っ越すとリセットされるに詳しく書きました。実務ではこちらのほうがよく使われます。

けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。