準確定申告とは?——亡くなった親の確定申告、期限は4か月。必要な人・不要な人をわかりやすく解説 相続

準確定申告とは?——亡くなった親の確定申告、期限は4か月。必要な人・不要な人をわかりやすく解説

親が亡くなった後の税金の手続きというと、多くの人は「相続税(10か月以内)」を思い浮かべます。

でも実は、それより先に期限が来る税金の手続きがあります。

準確定申告」——亡くなった親自身の、最後の確定申告です。期限は4か月。四十九日が終わってひと息つく頃には、残り3か月を切っています。

特に、親がアパート経営や地代収入など不動産所得のあった家庭は、ほぼ確実に必要です。大家である私自身、いずれ自分の家族が直面する手続きでもあるので、要点を整理してお伝えします。

この記事の結論

  • 準確定申告=亡くなった人の、その年1月1日から亡くなった日までの確定申告
  • 期限は「相続を知った日の翌日から4か月以内」。相続税(10か月)より先に来る
  • 必要な代表例:アパート・駐車場収入があった/自営業だった/年金400万円超
  • 不要な代表例:収入が年金400万円以下+その他の所得20万円以下
  • 申告義務がなくても、医療費控除などで税金が戻る(還付)ケースは多い。戻ったお金は相続財産になる

1. 準確定申告とは——「親の人生最後の確定申告」を家族が代わりにやる

確定申告は本来、本人が翌年の2〜3月に行うものです。でも亡くなった人は申告できません。

そこで、相続人が本人に代わって、1月1日から亡くなった日までの所得を申告する——これが準確定申告です。

  • 期限:相続の開始を知った日の翌日から4か月以内(例:4月10日に死去→8月10日まで)
  • 提出先:亡くなった親の住所地を管轄する税務署
  • 誰が:相続人全員。連名で1通の申告書を出すのが一般的です(各自バラバラに出す方法もあります)

なお、親が年明けに亡くなり、前年分の確定申告がまだだった場合は、前年分+当年分の2つを、どちらも同じ4か月の期限内に出す必要があります。ここは見落としやすい罠です。

2. 必要な人・不要な人

準確定申告が【必要】な代表例

  • アパート・貸家・駐車場などの不動産収入があった(大家さんはほぼ該当)
  • 自営業・フリーランスなど事業収入があった
  • 公的年金が年400万円を超えていた
  • 給与が2,000万円超、または2か所以上から給与を受けていた
  • 不動産や株を売って利益が出ていた

【不要】な代表例

  • 収入が公的年金だけで年400万円以下、かつ年金以外の所得が20万円以下
  • 勤め先の給与だけで、年末調整で完結する範囲だった

多くの年金暮らしの親は「不要」に該当します。ただし——

不要でも「やると得」なケース=還付

申告義務がなくても、申告すれば税金が戻ってくることがあります。典型例は:

  • 入院・介護で医療費がたくさんかかった(医療費控除)
  • 年金から所得税が源泉徴収されていた
  • 生命保険料控除などが未反映

亡くなる前は入院などで医療費がかさんでいることが多く、還付になるケースはかなり多いです。なお、戻ってきたお金(還付金)は相続財産として相続税の計算に含めます。

3. 大家の家庭は特に注意——家賃収入の「区切り」問題

親がアパート経営をしていた場合、収入をこう区切ります。

  • 1月1日〜亡くなった日の家賃 → 親の所得 → 準確定申告
  • 亡くなった日の翌日以降の家賃 → 相続人の所得 → 相続人自身の確定申告

そして意外と知られていないのが、亡くなった後の家賃の扱いです。遺産分割で物件を誰が継ぐか決まるまでの家賃は、法定相続分に応じて各相続人の収入として申告するのが原則です。「最終的に長男が相続したから最初から全部長男の収入」とはならず、分割確定までの期間は相続人みんなに申告義務が発生しえます。

親のアパートを相続する話でも触れましたが、賃貸物件の相続は「誰が継ぐか」を早く決めるほど、税務もシンプルになります。

4. 手続きの流れと必要なもの

  1. 収入の資料を集める:年金の源泉徴収票(年金機構に死亡届を出すと後日届きます)、家賃の管理資料、医療費の領収書など
  2. 申告書を作る:通常の確定申告書に「付表」(相続人全員の氏名・相続分などを書く紙)を添えるのが基本
  3. 相続人全員で確認・提出:連名方式の場合。e-Taxでも提出できます
  4. 納税 or 還付:納める税金があれば期限内に納付(納めた所得税は相続税の計算で債務として引けます)

親の書類がどこにあるかわからない——これが実務で一番の難関です。相続手続き全体の時間割と同じ結論になりますが、書類の場所を親が元気なうちに聞いておくのが最強の対策です。

5. 忘れるとどうなる?

申告義務があるのに4か月を過ぎると、無申告加算税や延滞税が上乗せされます。金額の大小より問題なのは、相続税の申告(10か月)の準備と時期が重なって、二重にバタバタすること。

不動産所得がからむ準確定申告は計算もややこしいので、相続に強い税理士にまとめて依頼してしまうのが現実的です。相続税の申告とセットで頼めば、資料集めも一度で済みます。

まとめ

  • 準確定申告=亡くなった親の最後の確定申告。期限4か月は相続手続きの中で最初級に早い
  • 不動産収入のあった親は必須。年金400万円以下なら原則不要
  • 不要でも医療費控除などで還付されるなら申告する価値あり(還付金は相続財産)
  • 亡くなった後の家賃は相続人の所得。分割確定まで法定相続分で按分が原則
  • 迷ったら相続税とセットで税理士へ

親を亡くした直後の4か月は、悲しむ間もなく手続きに追われます。「準確定申告というものがある」と知っているだけで、慌て方がまったく違うはずです。

けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。