賃貸のエアコンが故障したら誰の負担?——交換経験のある大家が、費用と対応の流れを解説 賃貸

賃貸のエアコンが故障したら誰の負担?——交換経験のある大家が、費用と対応の流れを解説

真夏のある日、部屋のエアコンから、ぬるい風しか出てこない——。

賃貸にお住まいなら、まず頭に浮かぶのは「これ、修理代は誰が払うの?」だと思います。そして大家側にとっては、入居者さんの生活に直結する、待ったなしの場面です。

私は賃貸経営に携わって10年以上の現役大家で、宅地建物取引士でもあります。所有物件でエアコンの交換も経験しました。今日はその経験も踏まえて、「誰の負担か」の分かれ目と、故障したときの正しい動き方をお話しします。

この記事の結論

  • 備え付けエアコンの経年劣化・自然故障は、原則として大家(オーナー)負担
  • ただし「設備」か「残置物」かで扱いが変わる——契約書の確認が大事
  • 入居者は勝手に修理・買い替えせず、まず管理会社へ連絡(ここを間違えると費用でもめます)
  • 夏は修理業者が混み合う。「効きが悪いかも」の段階で早めに連絡が正解
  • 大家側の学び:業者によって設置の丁寧さは全然違う。私は今、地元の電気屋さんに固定でお願いしています

1. 誰の負担か——分かれ目は「そのエアコンは誰のものか」

原則:備え付けの「設備」なら大家負担

物件にもともと備え付けられているエアコンは、大家の持ち物である「建物の設備」です。設備が経年劣化や自然故障で使えなくなった場合、修理・交換の費用は原則として大家負担です。民法でも、貸主には物件を使える状態に保つ「修繕義務」が定められています。

給湯器のトラブルのときにも書きましたが、考え方はまったく同じです。

例外①:入居者の使い方が原因の場合

フィルター掃除を長期間まったくせずに故障した、物をぶつけて壊した——など、入居者の不注意・過失が原因の場合は、入居者負担になることがあります。

例外②:「残置物」のエアコンは要注意

見落としがちなのがこれです。前の入居者が置いていったエアコンを、大家が「残置物」としてそのまま使わせているケースがあります。

この場合、契約書に「エアコンは残置物であり、修繕義務を負わない」といった記載があれば、故障しても大家に修理義務はありません。同じ「最初から付いていたエアコン」でも、「設備」か「残置物」かで扱いが正反対になるのです。

入居者の方へ:契約書(重要事項説明書)の設備欄を確認してみてください。「エアコン:有(設備)」なら大家負担、「残置物」「サービス品」といった記載なら要注意です。

2. 故障したときの正しい動き方(入居者向け)

  1. 症状をメモする:効かない・異音・水漏れ・エラー表示など
  2. 管理会社(または大家)にすぐ連絡:夜間でも管理会社の緊急窓口ならつながることが多いです
  3. 勝手に修理業者を呼ばない・買い替えない:ここが一番大事です。大家側にも「どの業者に頼むか」の段取りがあります。無断で手配すると、本来大家負担のはずの費用を払ってもらえない、というトラブルになりがちです
  4. 猛暑で命に関わりそうなら、その旨も伝えて対応を急いでもらう:それでも数日かかる場合は、冷風機の貸し出しなどを相談してみてください

大家側から言わせてもらうと、「効きが悪い気がする」の段階で連絡をもらえるのが一番助かります。完全に壊れてから真夏に連絡が来ると、修理業者がどこも繁忙期で、入居者さんを何日も暑い部屋で待たせることになってしまうからです。

3. 大家としての実体験——業者選びで「仕上がり」が変わる

私自身、所有物件でエアコンの交換を経験しています。そこで身をもって学んだことがあります。

業者によって、設置工事の丁寧さが全然違うのです。

エアコンの設置は「取り付けて終わり」ではありません。配管の処理、壁の穴まわりの仕上げ、水漏れしないドレンの勾配、室外機の置き方——細かい部分の丁寧さが、数年後のトラブル(水漏れ・効きの悪さ・見た目)に直結します。

いろいろな業者さんに頼んだ結果、今は地元の電気屋さんに固定でお願いしています。理由はシンプルで:

  • 仕事が丁寧:仕上がりの差は、数年後に効いてきます
  • 対応が早い:地元なので、繁忙期でも融通を利かせてもらいやすい
  • 顔の見える関係:物件の設備の癖を分かってくれている安心感

価格だけ見れば、量販店やネットの格安業者のほうが安いこともあります。でも賃貸経営は長期戦です。「安く付けて数年後にトラブル」より「丁寧に付けて長持ち」のほうが、トータルでは絶対に得——これが私の結論です。

4. 大家さん・これから大家になる人へ

  • エアコンの寿命は10〜15年が目安です。設置から10年を超えた部屋は、故障の連絡が来る前提で心づもりを
  • 夏前(5〜6月)に試運転をお願いするのも有効です。繁忙期前に不具合を見つけられれば、入居者さんを暑い部屋で待たせずに済みます
  • 交換費用は決して安くありません。エアコンのような日常設備は「修繕が多い年」に備えて現金を厚めに残しておく発想が大事です(修繕費の備え方で詳しく書いています)
  • そして、信頼できる業者さんを平時のうちに見つけておくこと。壊れてから探すのでは遅いのです

まとめ

  • 備え付けエアコンの自然故障は原則大家負担。ただし「残置物」なら話が変わるので契約書を確認
  • 入居者は勝手に修理せず、まず管理会社へ連絡。「効きが悪いかも」の早め連絡が双方にとって最善
  • 大家は夏前の試運転・修繕費の積立・信頼できる業者の確保で備える
  • 業者選びは価格より丁寧さ。長い目で見れば、丁寧な地元業者が一番の節約になる

エアコンは、いまや命に関わる設備です。入居者も大家も「早めに動く」が何よりの対策です。

なお、負担の所在は契約内容や故障の原因によって個別に異なります。実際の判断は契約書の確認と、管理会社・専門家への相談をおすすめします。本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。


著者プロフィール けいすけ / 理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。医療と不動産、両方の現場から「親の家、どうする?」を考えます。

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けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。