空室が埋まらないときにやったこと——効いたのは家賃より管理会社 賃貸

空室が埋まらないときにやったこと——効いたのは家賃より管理会社

「家賃を下げれば決まりますよ」

空室が長引くと、管理会社からこう言われることがあります。たしかに、下げれば決まりやすくなります。でも、それしか手がないのでしょうか。

私は大家として、マンションでも戸建てでも、空室が埋まらない時期を経験しました。そのときにやったことと、結局なにが効いたのかを書きます。

親の物件を引き継いで、いきなり空室に向き合うことになった方にも、読んでもらえたらと思います。

この記事の結論

  • 空室が長引くのは、めずらしいことではない。全国の空き家の約半分は、賃貸用の空き家
  • 私がやったのは2つ。設備を足したことと、管理会社を替えたこと
  • 決め手になったのは、やる気のある管理会社に替えたこと
  • 管理会社の「やる気」は、ふだんは見えない。空室のときに、はじめて分かる
  • 足した設備は、インターネット無料(Wi-Fi)とモニター付きインターホン。入居者に人気の設備ランキングの常連
  • 家賃を下げるのは、最後の手段。一度下げると、元に戻すのは難しい
  • 親の物件を引き継いだ方は、まず募集の図面を自分の目で見ることから

空室が長引くのは、めずらしくありません

まず、数字を1つだけ。

総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によると、全国の空き家は900万戸、空き家率は13.8%で、どちらも過去最高です。そのうち賃貸用の空き家は443万戸。空き家全体の49.3%、つまり約半分です。

「うちの物件だけ決まらない」と感じますが、貸したいのに借り手がいない部屋は、全国に443万戸あります。

だから、空室が長引いたときに責めるべきなのは、自分でも物件でもありません。「どうすれば、この部屋を見てもらえるか」という募集のやり方のほうです。

私がやったこと、やらなかったこと

空室が続いたとき、私が実際にやったことと、やらなかったことを表にします。

選択肢やったか理由
設備を足す(ネット無料・モニター付きインターホン)やった家賃を変えずに、部屋の価値を上げられる
管理会社を替えるやった募集の動きが変わった。これが決め手
家賃を下げる最後の手段にした一度下げると戻せない。ほかの部屋にも影響する

順番に書きます。

効いたのは、管理会社を替えたことでした

結論から言うと、いちばん効いたのは管理会社を替えたことです。

替えたあと、空室は決まりました。やる気のある管理会社に替えた、というのが正直な感想です。

「やる気」は、空室のときに分かる

管理会社の仕事は、ふだんは見えにくいものです。家賃が入り、クレームが来れば対応する。それが回っていれば、大家は「問題ない」と思います。

でも、空室が出たときに、差が出ます。

やる気のある管理会社と、そうでない管理会社は、空室が出たときの動きが違います。一般的に、次のような違いがあると言われています。

空室が出たとき動く管理会社動かない管理会社
大家への連絡反響の数や内見の様子を報告してくる聞かないと何も言ってこない
提案「この設備を足しては」「写真を撮り直しては」と言ってくる「家賃を下げましょう」だけ
仲介会社への働きかけ周りの仲介会社に物件を案内している自社のサイトに載せて終わり
募集の写真・図面明るい写真、間取りが分かる図面何年も前の暗い写真のまま

私が替える前に感じていたのは、まさに右の列でした。

空室が出ても、こちらから聞かなければ何も分からない。埋めるための積極的な提案もない。空室を埋めるために動いている気配がなかったのです。

替えたあとは、募集の動きが見えるようになりました。それが「やる気がある」と感じた理由です。

替えるときの順番

管理会社を替えるのは、大家にとって大きな決断です。全部を一気に替えるのは怖い。私はまず1棟だけ替えて、様子を見ました。

この順番と、複数の会社に会って分かったことは、「管理会社を変えるなら1棟から」に書いています。この記事では省きます。

設備を足した——ネット無料とモニター付きインターホン

もう1つやったのが、設備を足すことです。

足したのは、インターネット無料(Wi-Fi)とモニター付きインターホンです。

なぜこの2つかというと、入居者に人気の設備ランキングで、長く上位にいる設備だからです。全国賃貸住宅新聞が毎年出している「人気設備ランキング」では、インターネット無料が10年以上、上位の常連です。2025年は「高速インターネット無料」が単身者向けで1位になりました。モニター付きインターホンも、ファミリー向けで上位に入っています。

設備を足す良いところは、家賃を変えずに部屋の価値を上げられることです。

家賃を5,000円下げると、年間6万円の減収が、その入居者が住み続ける間ずっと続きます。設備は一度お金がかかりますが、次の入居者にも、その次の入居者にも効きます。

設備を足すときに気をつけたこと

  • 募集の図面に書く。 足しただけでは伝わりません。「インターネット無料」「モニター付きインターホン」と、図面と募集サイトに載せてもらいます
  • 管理会社に「この設備を足したら、募集で強くなりますか」と聞く。 ここで具体的な答えが返ってくるかどうかも、管理会社の「やる気」を見る材料になります
  • 入居中の部屋との差を考える。 空室だけに設備を足すと、今住んでいる人から「うちも」と言われることがあります。建物全体で考えます

家賃を下げるのは、最後にしました

「家賃を下げれば決まる」は、たぶん本当です。でも、私はそれを最後の手段にしています。理由は3つです。

一度下げると、戻せない。 次の更新で「もとの家賃に戻します」とは、なかなか言えません。

ほかの部屋にも影響する。 同じ建物で1部屋だけ安くすると、募集サイトでその金額が見えます。ほかの入居者が更新のときに「あの部屋は安いのに」と言うことがあります。

下げても決まらないことがある。 決まらない原因が「見てもらえていない」ことにあるなら、家賃を下げても見てもらえないままです。

家賃を下げる前に、「この部屋は、ちゃんと見てもらえているか」を確かめる。設備を足す、写真を撮り直す、管理会社の動きを見る。それでも決まらないときに、はじめて家賃を考える。この順番にしています。

親の物件を引き継いだ方へ——まず、この3つ

相続や親の入院で、いきなり賃貸物件を引き継ぐことがあります。そこで空室に向き合うことになった方は、まず次の3つを確かめてみてください。

  1. 募集の図面を、自分の目で見る。 管理会社に「いま出している募集の図面と写真を送ってください」と頼みます。写真が暗い、間取りが分からない、設備が書いていない。それだけで、見てもらえていない理由が分かることがあります
  2. 管理会社に「空室を埋めるために、いま何をしていますか」と聞く。 具体的な答えが返ってくるか、「家賃を下げましょう」だけか。ここに、その会社の動き方が出ます
  3. 設備を確認する。 インターネットは使えるか、インターホンにモニターはあるか。親の代から変わっていない物件は、ここで負けていることがあります

この3つを見て「動いていない」と感じたら、管理会社を替えるという選択肢があります。替える前に、複数の会社に話を聞いてみてください。空室が出たときにどう動くかを、契約する前に聞いておくのがおすすめです。

親の家を貸すかどうか自体を迷っている方は、「実家を賃貸に出す前に知っておきたいこと」を先に読んでください。

この記事のまとめ

  • 空室が長引くのは、めずらしくない。賃貸用の空き家は全国に443万戸、空き家の約半分
  • 私がやったのは、設備を足すことと、管理会社を替えること
  • 決め手は、やる気のある管理会社に替えたこと。空室が出たときの動きが変わった
  • 管理会社の「やる気」は、空室のときに分かる。報告・提案・仲介への働きかけを見る
  • 足した設備は、ネット無料とモニター付きインターホン。人気設備ランキングの常連
  • 家賃を下げるのは、最後の手段。その前に「見てもらえているか」を確かめる
  • 親の物件を引き継いだら、まず募集の図面を自分の目で見る

管理委託の内容や費用、募集のやり方は、会社や地域によって異なります。契約書と管理会社でご確認ください。

親の家をどうするかの全体像は「「親の家、どうする?」完全ガイド」にまとめています。

けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。