家賃が上がっているのには理由があった——修繕費の高騰と大家の本音をPT大家が解説 賃貸

家賃が上がっているのには理由があった——修繕費の高騰と大家の本音をPT大家が解説

「また家賃上がった」「次の更新が怖い」

そんな声を最近よく聞くようになりました。「大家が儲けたくて値上げしている」と思いがちですが、実際はそう単純ではありません。

この記事でわかること:

  • 家賃が上がっている本当の理由(大家側の事情)
  • 修繕費・設備費の高騰がどれだけ影響しているか
  • 借りている側が取れる3つの現実的な対策

私はリハビリの仕事をしながら賃貸物件も持っています。正直に言うと、家賃を上げたくて上げているわけじゃない大家さんも、たくさんいます。

この記事を読むことで、「なぜ今、家賃が上がっているのか」を大家側の目線で理解でき、更新交渉や引っ越しの判断がしやすくなります。


家賃はどうやって決まるのか

家賃は「大家が好き勝手に決めるもの」ではなく、3つのバランスで決まります。このバランスのうち「コスト」が上がり続けているのが今の状況です。

家賃を決める3つの要素:

  1. かかっている費用(ローン返済・修繕費・管理費など)
  2. 近隣の相場(高すぎると空室になる)
  3. 物件の価値(築年数・設備・立地など)

「費用が上がったから家賃を上げる」のは、大家さんにとってはある意味生存のための行動なんです。「大家が好き勝手している」というより、「コストが上がって限界が来た」という状況が多いです。

この構造を知っておくと、更新交渉のときに「なぜ値上げなのか」を建設的に聞きやすくなります。


何が上がっているのか——「修繕費」が家賃を直撃

ここ数年で特に大きく上がっているのが、修繕・保守・設備交換にかかる費用です。エアコン・給湯器・外壁塗装のどれを取っても、数年前と比べて大幅に高くなっています。

わかりやすく言うと:

  • エアコンを交換しようとしたら、以前の1.5倍の見積もりが来た
  • 給湯器が壊れて注文したら、部品がなくて数ヶ月待ちという事態に
  • 外壁塗装を頼んだら、職人さんの人件費が上がっていて工費が倍近くになった

これ、誇張じゃなくて今起きていることです。建材・資材・設備の価格は、コロナ以降の世界的なサプライチェーン混乱・円安・エネルギー価格の高騰が重なって上がり続けています。

数字で見ると

国土交通省の「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、令和6年度のアパート向け融資の新規貸出額は3兆8,184億円にのぼりました。前年度より3,647億円増、過去4年間で最高の金額です。

「お金をたくさん借りてアパートが増えている=それだけ費用も増えている」ということ。大家さんたちが設備投資や修繕に追われている状況が、この数字からも見えてきます。

「大家が儲けている」のではなく「コストが上がりすぎて、家賃に転嫁せざるを得ない」というのが多くの大家の実態です。


大家側の本音——「空室になっても値上げするのか?」

多くの大家は、家賃を上げすぎると空室になるリスクを知りながら、それでも値上げせざるを得ない状況に追い込まれています。

家賃を上げすぎると入居者が来なくなる。でも費用は上がり続ける。

多くの大家さんはギリギリまで家賃を据え置いて、修繕をしながら耐えています。どこかで限界が来て家賃に転嫁せざるを得なくなる——それが今の市場で起きていることです。

「値上げします」と連絡が来たとき、大家さんが「儲けたくて」動いているとは限りません。「このままでは維持できない」から動いているケースが多いことを知っておくと、交渉の仕方も変わってきます。

「大家vs入居者」ではなく、「費用高騰という問題を一緒に考える」視点が交渉をうまくいかせるコツです。


借りている人が取れる3つの対策

家賃が上がっても、対応できる余地はあります。「理由を聞く」「長期入居を活かす」「設備を把握する」の3つが現実的な対策です。

① 更新時に「値上げの理由」を聞いてみる

理由がはっきりしている場合、交渉の余地があることも。「近隣相場と比較してどうか」を調べてから話し合うと建設的です。「設備が古いのに家賃が上がるのはなぜですか?」と具体的に聞くのも有効です。

② 長期入居は意外と武器になる

大家さんにとって「長く住んでくれている人」は大切な存在です。空室になるリスクがないので、丁寧に話し合えば家賃据え置きで更新してもらえるケースも少なくありません。「〇年住んでいます」という事実は、交渉の強みになります。

③ 設備の状態を把握しておく

エアコン・給湯器・水回りなど、設備が古いほど修繕リスクが大家側に積み上がっています。「設備が古い=大家側のコスト負担が増える可能性」を把握しておくことで、今後の動きが読みやすくなります。

この3つを知っておくだけで、更新交渉の選択肢が格段に広がります。


まとめ

  • 家賃が上がっているのは「大家の儲けたい気持ち」だけではない
  • 修繕費・設備費・人件費の高騰が、じわじわと家賃を押し上げている
  • 大家側もギリギリで耐えているケースが多い
  • 借りている人は「理由を聞く」「長期入居を活かす」などで対応できる可能性がある

更新の案内が来たら、まず**「値上げの理由を丁寧に聞くこと」から始めてみてください。**理由を知るだけで、「受け入れるか・交渉するか・引っ越すか」の判断がしやすくなります。

賃貸契約・家賃交渉に関する個別の相談は、消費生活センターや弁護士などの専門家にご相談ください。


著者プロフィール けいすけ / 理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 11期目の大家。医療と不動産、両方の現場から「親の家、どうする?」を考えます。

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けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 11期目の大家。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。