大家が簿記を勉強した理由——決算書が読めると何が変わるか 賃貸

大家が簿記を勉強した理由——決算書が読めると何が変わるか

「これ、何が書いてあるんだろう」

毎年、確定申告の時期になると税理士さんから書類を渡されます。

貸借対照表損益計算書勘定科目内訳書……。まとめて「決算書」と呼ばれる一式です。

渡されるたびに思っていたことがあります。

「……数字はたくさん並んでいるけど、これ、どう読めばいいんだろう?」

家族法人の賃貸経営で、最初は非常勤役員として関わり、いまは常勤役員。役員になって3年目になります。常勤になってから強く感じたのは、「両親はこれまでよくやってきたけれど、専門家任せにしている部分が多い」ということでした。

管理会社に管理を、税理士さんにお金を、それぞれ任せている。それ自体は悪いことではありません。でも、任せた相手が正しいことをしているかどうかを確認できる人間が、家族の中にいない状態は危うい。

賃管士で管理のルールを、宅建で契約のルールを学んだ。次はお金の流れを自分で読めるようにする番だと思いました。

税理士さんに「今年はどうでしたか?」と聞くと、「まあ問題ないですよ」と言ってもらえる。それを信じるしかなかった。

それって、飛行機に乗っているのに計器が読めない状態だと思ったんです。

実はこれが初めての簿記挑戦ではありませんでした。

私はPTになる前に、一般大学を出ています。その在学中に一度簿記を勉強しようとしたことがあります。でも、途中で諦めました。「仕訳ってなんだ」「借方・貸方の意味がわからない」という壁に当たって、そのままフェードアウト。

あのときの挫折があったので、今回は同じ失敗をしたくありませんでした。

ということで、2度目の挑戦。クレアールを使って合格しました。今回はその経緯と、学んでから何が変わったかをお話しします。


なぜ大家に簿記が必要なのか

大家業って、一見「お金が入ってくるだけ」に見えます。でも実際はちがいます。

  • 修繕費はどこに計上されるのか
  • 減価償却とは何か
  • 借入金の返済は費用になるのかならないのか

これ、すべて簿記の知識がないと正確に理解できません。

たとえば「去年の利益が100万円だった」と聞いても、減価償却を計上した後の100万円なのか、そうじゃないのかで意味がまったく違います。減価償却をざっくり言うと「建物は毎年少しずつ古くなっていくから、その分を費用として計上しましょう」という仕組みです。

この仕組みを知っていると「帳簿上の利益は少ないけど実際のキャッシュは十分ある」「利益が出ているように見えるけど実は借入返済がキツい」といった実態が見えてきます。

お金の流れを自分で判断できるかどうか。これが大家として長く続けられるかどうかに直結していると感じました。


大家業なら「3級で十分」

簿記には1級・2級・3級があります。「どの級を目指せばいいか」と迷う方も多いと思います。

私はPTになる前に一般大学を出ていて、その当時の友人に公認会計士や税理士がいます。大家業に本格的に関わるようになってから相談したとき、口をそろえて言われたのが「3級で十分だよ」でした。

……もしかしたら、私が勉強得意じゃないことを知っているから、そう言ってくれたのかもしれませんが(笑)。

理由はシンプルで、大家業には仕入れがないからです。製造業や小売業は原材料を仕入れて加工・販売するため、2級以上の知識が必要になります。でも賃貸経営は、家賃収入・修繕費・減価償却・借入返済が中心。この範囲は3級で十分カバーできます。

専門家のアドバイスをもとに、迷わず3級に絞って勉強しました。


クレアールを選んだ理由

簿記の勉強方法はいろいろあります。テキストだけ買って独学、市販の問題集、通信講座……。

私がクレアールを選んだのは次の理由からです。なお、クレアールの簿記3級講座は1万円程度から受講できます。みやざき塾の宅建講座(78,000円)と比べるとずいぶんリーズナブルで、始めやすい価格帯です。

① 働きながらでも無理なく進められるカリキュラム

私は理学療法士として訪問リハビリをしながら、家族法人の賃貸経営にも関わり、小さな子どもが3人います(簿記を勉強した2025〜2026年当時)。勉強に使える時間は朝の1〜2時間だけ。それを毎日コツコツ続けました。クレアールは「必要なところだけを効率よく学ぶ」という考え方で教材が組まれているので、限られた時間でムダなく進められます。

② 動画講義でわかりやすい

テキストを読むだけだと「仕訳」の意味がイメージしにくい。動画で先生が手を動かしながら説明してくれると、「ああ、こういうことか」と腑に落ちます。

③ 質問できる体制がある

独学だと詰まったところで止まってしまう。クレアールはサポート体制があるので、疑問をそのまま放置せずに済みました。

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簿記の勉強は「手を動かす」が正解

宅建や賃管士の勉強と、簿記の勉強は根本的にやり方が違います。

宅建・賃管士は「なぜそうなるか」を理解することが大事でした。法律の条文は、理由がわかれば応用が効く。みやざき塾でひたすら「理由」を学んだことが宅建合格につながりました。

簿記は違います。

仕訳(取引を借方・貸方に分けて記録する作業)は、理屈を理解するより、とにかく手を動かして繰り返すほうが身につきます。「なぜ左に書くのか」を考えすぎるより、「こういう取引はこう書く」を体に覚えさせる感覚です。

大学生のとき挫折したのも、たぶんここが原因でした。「理解しようとしすぎた」。

クレアールの講義は、理屈の説明のあとすぐに「では実際に書いてみましょう」という流れで進みます。手を動かすことが前提に組まれているカリキュラムで、私のような「動かしながら覚えるタイプ」にはちょうど合っていました。

ちなみに、日商簿記3級はネット試験(CBT方式)で受験できます。紙の試験(年3回)と違い、ネット試験は随時受けられるため、「準備できたら受ける」が可能です。宅建のように「年1回の試験に全てを懸ける」プレッシャーがありません。

私自身は2回目で合格しました。1回目は惜しくも不合格でしたが、すぐ再受験できるのでそこまで落ち込まずに済みました。「何度でも受けられる」という気軽さも、簿記を最初の資格にしやすい理由のひとつだと思います。


勉強を始めてから何が変わったか

決算書が「ただの数字の羅列」じゃなくなった

以前は税理士さんから渡された決算書を見ても、何がどこに書いてあるかすらわかりませんでした。

今は「資産の合計がいくらで、負債がいくらで、純資産がこれだけある」という全体の構造が見えます。「去年より借入が減ってる、いいぞ」とか「修繕費がかさんで今年は利益が少ない。でも来年は減るはず」とか、自分なりに読めるようになりました。

税理士さんとの会話が変わった

これが一番大きかった変化です。

以前は「まあ問題ないですよ」という言葉を受け取るだけでした。今は「今年は修繕費が多かったので損益が厳しめですが、減価償却と合わせると実際のキャッシュはどうですか?」という質問ができます。

税理士さんも「あ、そこまでわかってるんですね」という反応に変わりました。専門家と対等に話せるようになった感覚です。

月次決算が読めるようになった

以前は年に一度、確定申告のときだけ数字を確認していました。

簿記を学んでからは、毎月税理士さんから届く月次決算書が読めるようになりました。月次決算とは、毎月の収支をまとめた財務報告のことです。

「今月の収入はいくらで、費用はいくらで、手残りはどうか」が月単位で把握できるようになった。「修繕が重なった月」「空室が出た月」の影響がリアルタイムで見えます。

以前は届いても眺めるだけでした。今は「あ、今月は修繕費が多くて利益が圧迫されているな」「借入残高が少し減った」と自分で読んで判断できます。

修繕費を「投資」として考えられるようになった

簿記を学ぶ前は「修繕費が出た=損した」という感覚でした。

でも、修繕を適切に行うことで物件の価値を維持できる。それを「費用」として計上することで税負担も変わる。こういうお金の流れ全体で考えられるようになりました。


まとめ

大家に簿記は必要か、と聞かれたら「必要です」と即答します。

特に、複数物件を持っていたり、借入をしていたりする場合はなおさら。数字が読めないまま経営を続けるのは、暗闇の中を走るようなものだと思います。

そして正直に言うと、大家に限らず簿記の知識はあって損がないと感じています。

株や投資信託などの投資をやっている方も同じです。企業の財務諸表が読めると「この会社の経営状態は健全か」が自分で判断できるようになります。専門家の言葉を鵜呑みにせず、自分の目で確認できる力です。

持ち家も、極論すれば不動産投資の一側面があります。ローンを組んで資産を持ち、価値が上がるか下がるかを考える——これはまさに投資の視点です。住宅ローンを抱えている方にも、お金の流れを読む力は役立ちます。

お金に関わるすべての人にとって、簿記3級レベルの知識は「持っておいて損のない教養」だと思います。

クレアールは働きながら合格を目指すのに向いていました。私のような「勉強時間が限られている社会人」でも、コツコツ続けることで合格できます。

ネット試験で随時受験できるので、自分のペースで「準備が整ったら受ける」という進め方ができるのは大きなメリットです。

決算書を自分の目で読めるようになる。それだけで大家としての自信がぜんぜん変わりました。

ひとつ言いたいのは、簿記を取ったからといって、税理士さんに任せることをやめたわけじゃないということです。

専門家に任せることと、専門家に頼りきりになることは、まったく違います。

税理士さんの説明が「腑に落ちるかどうか」。数字を見て「これはおかしくないか」と気づけるかどうか。そこが変わるだけで、専門家との関係の質がまるごと変わります。

任せながらも、自分で考える。その土台が、簿記を学んでできました。

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著者プロフィール けいすけ / 理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。医療と不動産、両方の現場から「親の家、どうする?」を考えます。

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けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。