7月ごろ、市区町村からうすい色の紙が届きます。
「介護保険負担割合証」です。
そこに書かれた数字が、去年まで「1割」だったのに——今年は「2割」になっていた。
支払いが、単純に2倍になります。
この記事では、その紙が届いたときに確認してほしい4か所と、間違っていると思ったときの動き方をお話しします。
この記事の結論
- 確認するのは「割合」「有効期間」「氏名」「世帯」の4か所です
- 判定は前年の所得。本人だけでなく、同じ世帯の65歳以上の収入も見られます
- 上がる原因で多いのは、前の年に不動産を売った/世帯構成が変わった
- 間違いだと思ったら、まず市区町村に電話。直ることがあります
- お金を理由にサービスを減らすのは、いちばん最後にしてください
まず、なぜ2割になるのか
判定に使うのは、前の年(1〜12月)の所得です。
そして——本人の所得だけでは決まりません。
| 条件(両方を満たしたときだけ) | |
|---|---|
| 2割 | 本人の合計所得金額 160万円以上 かつ世帯の65歳以上の「年金収入+その他の合計所得」が 単身280万円以上/2人以上346万円以上 |
| 3割 | 本人の合計所得金額 220万円以上 かつ上記が単身340万円以上/2人以上463万円以上 |
「かつ」がポイントです。片方だけでは上がりません。
切り替わる日は決まっています
毎年7月ごろ 新しい負担割合証が届く
↓
8月1日から 新しい割合が適用される
↓
翌年7月31日まで 1年間そのまま
つまり、一度上がると1年続きます。
届いたら見る、4か所
① 割合の数字
まずここです。「1割」「2割」「3割」。
去年の証と、必ず見比べてください。去年の分を捨てていなければ、並べるのが一番早いです。
② 有効期間
令和◯年8月1日 〜 令和◯年7月31日
古い証をそのまま事業所に出していると、請求のときに食い違います。
新しい証は、届いたらすぐケアマネジャーと事業所に見せてください。
③ 氏名と被保険者番号
ご夫婦それぞれに届きます。別々の証です。
お父さまの証を、お母さまの分として出してしまう——起こりえます。二人分あるときは、名前を見てから渡してください。
④ 世帯に、誰がいるか
ここがいちばん見落とされます。
判定は世帯の65歳以上全員を見ます。
子ども夫婦が同居しはじめた
その子どもが65歳になった
↓
本人の収入は変わっていないのに、割合が上がる
「うちの親は年金だけなのに、なぜ?」の答えが、ここにあることがあります。
上がる原因で、いちばん多いもの
前の年に、まとまったお金が動いていませんか。
| よくある原因 | |
|---|---|
| 不動産を売った | 売却益が所得に入ります |
| 生命保険の一時金を受け取った | |
| 株や投資信託を売った | |
| 世帯構成が変わった | 同居・世帯分離の解消など |
とくに「実家を売った翌年」は、かなりの確率で上がります。
その仕組みと、避け方は「実家を売った翌年、親の介護費が上がる」に詳しく書きました。
間違っていると思ったら——道は3つあります
「決まったことだから」と、あきらめないでください。
道① まず市区町村に電話する
これがいちばん早く、いちばん効きます。
「負担割合証が2割になっていますが、どの所得で判定されていますか」
窓口は答えてくれます。
そして、そこで判明することがあります。
世帯に、判定に入るべきでない人が入っていた
所得の情報が、まだ更新されていなかった
確定申告の修正が反映されていなかった
↓
直れば、割合も直ります
市区町村も、間違えます
これは一般論ではありません。
私が現場で見ている範囲でも、毎年1〜2件は「先に届いた証が間違っていた」というケースがあります。あとから訂正された証が届いて、割合が変わっていた——そういう形です。
つまり、届いた数字が正しいとは限りません。だから、聞く価値があります。
そして逆に——証が2通届いたら、あとのほうが正しいと考えてください。先に届いたほうを事業所に出したままだと、請求で食い違います。
道② 所得の申告内容を見直す
申告の内容が変われば、判定も変わります。
医療費控除を入れ忘れていた
譲渡所得の特別控除を使っていなかった
↓
修正申告 → 市区町村へ反映 → 割合が下がることがある
ただし、これは税理士の領域です。自己判断で動かないでください。
道③ 納得できなければ、審査請求という道がある
都道府県の「介護保険審査会」に、不服を申し立てられます。
期限:処分があったことを知った日の翌日から3か月以内
ただし正直に申し上げると、所得の判定そのものは計算どおりに出るので、ここまで進んで覆ることは多くありません。
道①で解決することが、圧倒的に多いです。
まとめて聞ける、ひとつの質問
市区町村の窓口に、これだけ聞いてください。
「判定に使った所得と、世帯に入っている人を教えてください」
この一言で、①割合の根拠 ②世帯の範囲 ③直せる余地 が、いっぺんに分かります。
「なんで上がったんですか」だけだと、「所得が基準を超えたためです」で終わってしまいます。
最後に——減らす前に、相談してください
負担が2倍になると、多くのご家族が「回数を減らそう」と考えます。
週3回 → 週2回
↓
動く機会が減る
↓
筋力が落ちる
↓
結局、もっと重い介護が必要になる
サービスの回数が減れば、体は落ちます。理由が何であれ、同じです。
減らす前に、ケアマネジャーに相談してください。
同じ費用でも、中身を組み替えれば維持できることがあります。伝え方は「ケアマネさんに何を伝えればいいか」にまとめました。
この記事のまとめ
- 届いたら見るのは ①割合 ②有効期間 ③氏名 ④世帯の4か所
- 判定は前年の所得。世帯の65歳以上全員が見られる
- 2割=合計所得160万円以上 かつ 単身280万円以上/2人以上346万円以上
- 3割=合計所得220万円以上 かつ 単身340万円以上/2人以上463万円以上
- 適用は8月1日から翌年7月31日まで。一度上がると1年続く
- 上がる原因で多いのは 前年の不動産売却・世帯構成の変化
- おかしいと思ったら、まず市区町村に電話。直ることがある
- 市区町村側のミスは、実際にある(現場では毎年1〜2件見る)。証が2通届いたら、あとのほうが正しい
- 聞く言葉は「判定に使った所得と、世帯に入っている人を教えてください」
- 回数を減らすのは最後。先にケアマネジャーへ
判定の基準や手続きは、お住まいの市区町村や年度によって異なります。必ず市区町村の窓口、または税理士にご確認ください。
親の家とお金の全体像は「「親の家、どうする?」完全ガイド」にまとめています。
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