親が亡くなって、「相続税の申告が必要かも」と気づいたとき、こんな疑問が浮かぶと思います。
「自分でできるの? 税理士に頼まないといけないの?」
結論からいうと、相続税の申告は自分でできます。ただし、かなり大変です。
この記事では、自分でやる場合の手順・必要書類、つまずきやすいポイント、そして「どんな人は税理士に頼むべきか」をわかりやすくまとめました。
相続税の申告、自分でできる?
はっきりいうと「できる」。国税庁のウェブサイト(e-Tax)や、税務署に行けば、自分で申告することは制度上まったく問題ありません。
ただし、正直にいえば「大変です」。
理由は3つあります。
- 必要な書類が多い(戸籍謄本・不動産の評価資料など、10種類以上)
- 計算が複雑(特に土地の評価額は専門知識が必要)
- 期限が厳しい(亡くなった日から10か月以内)
「税理士に頼むお金がない」「シンプルなケースだから自分でやりたい」という方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
自分でやる場合に必要な書類・手順
STEP1|相続税がかかるかどうかを確認する
まず「申告が必要かどうか」を確認します。
相続税には基礎控除という「この金額以下なら税金がかからない」ラインがあります。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば相続人が子ども2人なら、3,000万 + 600万×2 = 4,200万円以下なら申告不要です。
遺産の合計がこの金額を超えた場合にだけ、申告が必要になります。
ただし注意点がひとつ。「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」を使って税額をゼロにする場合は、税額ゼロでも申告が必要です。特例は申告して初めて使えるルールだからです。
STEP2|必要書類を集める
自分で申告する場合、以下の書類が必要です。
| 書類 | 入手先 |
|---|---|
| 被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本(出生から死亡まで全部) | 市区町村役場 |
| 相続人全員の戸籍謄本・住民票 | 市区町村役場 |
| 遺産の一覧表(預貯金・不動産・株など) | 各金融機関・法務局 |
| 不動産の登記事項証明書 | 法務局 |
| 固定資産税評価証明書 | 市区町村役場 |
| 預貯金の残高証明書 | 各銀行 |
| 相続税申告書(第1表〜第15表) | 国税庁HP・税務署 |
戸籍は「出生から死亡まで全部そろえる」必要があるため、昔の本籍地が別の市区町村にある場合は、郵送で取り寄せることになります。これだけで1〜2か月かかることもあります。
STEP3|遺産の総額を計算する
集めた書類をもとに、遺産の総額を計算します。
- 預貯金:残高証明書の金額をそのまま使う
- 株式:亡くなった日の終値で計算
- 不動産:これが一番難しい(後述)
STEP4|申告書を作成・提出する
国税庁の「相続税の申告書」は第1表から第15表まであり、財産の種類によって記入する表が変わります。
国税庁のHP(https://www.nta.go.jp)から書式をダウンロードできます。また、e-Taxを使えばオンラインで提出も可能です。
提出先は亡くなった方の住所地を管轄する税務署です。
素人がつまずくポイント3つ
つまずき①「土地の評価」が難しい
土地の相続税評価は「路線価(ろせんか)」という特殊な価格を使います。
路線価とは「国税庁が決めた、道路に面した土地1平方メートルあたりの価格」のこと。これに土地の面積や形・位置などの補正をかけて評価額を出します。
この計算が素人には一番難しい部分です。土地の形が変わっていたり、複数の道路に面していたりすると、計算式が複雑になります。ここで間違えると過少申告(税金を少なく申告してしまうこと)になり、後で追加の税金と罰金が発生することもあります。
つまずき②「小規模宅地等の特例」を見落とす
「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった方が住んでいた土地の評価額を最大80%減らせる制度のことです。
たとえば評価額5,000万円の土地が1,000万円になる計算です。これを使えるかどうかで、相続税額が大きく変わります。
ただし「誰が相続するか」「相続後にその土地をどう使うか」によって使える条件が変わるため、見落としや誤用が多いポイントです。
つまずき③「申告期限」に間に合わない
相続税の申告期限は亡くなった日の翌日から10か月以内。
たとえば2026年1月5日に亡くなった場合、申告期限は2026年11月5日です。
書類集めに時間がかかったり、相続人同士で財産の分け方(遺産分割)がまとまらなかったりすると、あっという間に期限が来てしまいます。期限を過ぎると延滞税・無申告加算税という罰金がかかります。
どんな人は税理士に頼むべきか
以下のうち1つでも当てはまるなら、税理士への相談を強くおすすめします。
- 不動産がある(土地の評価が複雑なため)
- 遺産の総額が1億円以上
- 相続人が多い・仲が悪い(もめると申告期限が迫る)
- 会社や事業を相続する
- 海外に財産がある
- 過去に贈与があった(生前贈与は相続財産に加算されることがある)
- とにかく時間がない・不安が大きい
逆に言えば、「相続人が2人、財産は預貯金だけ、総額5,000万円以下」のようなシンプルなケースなら、自分での申告も十分現実的です。
まとめ
| 内容 | |
|---|---|
| 自分でできる? | できるが大変 |
| 一番難しい部分 | 土地の評価 |
| 期限 | 亡くなった翌日から10か月以内 |
| 税理士に頼むべき人 | 不動産あり・遺産1億以上・相続人が多い |
相続税の申告は「できないことはない」ですが、間違えると後から追加の税金や罰金が発生します。少しでも不安があれば、税理士に相談することが一番の近道です。初回相談が無料の税理士も多いので、まずは話を聞いてもらうだけでも大きな安心につながります。
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