「20万円、いったん全部払わないといけないんですよね?」
そう思って、工事をあきらめてしまう方がいます。
でも——横浜市には、全額を立て替えなくていい方法があります。
20万円の工事なら、自己負担1割の方は2万円を払うだけ。残りは市が業者へ直接払ってくれます。
ただし、使うには条件がひとつあります。そして——業者を決めてしまってからでは、間に合いません。
訪問リハビリで10年以上、数えきれないご家庭に上がってきた理学療法士として、横浜市で住宅改修を使うときに知っておいてほしいことをお話しします。
この記事の結論
- 介護保険の住宅改修は工事費20万円分までが対象(自己負担は1〜3割)
- 原則は「償還払い」=いったん全額を立て替える
- 横浜市では「受領委任払い」が使える。自己負担分だけ払えばよい
- 条件は「登録事業者に頼むこと」。市の研修を受けた業者だけが対象
- 業者を決める前に「受領委任払いは使えますか」と聞く——これだけ
- 横浜市は申請がオンラインでできる(区役所に行かなくてよい)
介護保険の住宅改修費とは?
介護保険の住宅改修費は、要支援・要介護の認定を受けた方が自宅をバリアフリー化するときに使える補助金の仕組みです。
- 上限額:20万円(枠内なら複数回に分けて利用可。転居時・要介護度が3段階上がった時はリセット)
- 自己負担:所得に応じて1〜3割(介護保険が7〜9割を負担)
- 例:18万円の工事なら、1割負担の方は実質1万8,000円で済む
要するに、「20万円まで使った工事の大部分を、国が肩代わりしてくれる制度」です。
手すりをつけるだけでなく、段差を解消したり、滑りにくい床材に変えたりといった工事も対象です。
対象となる工事の種類
| 工事の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 手すりの設置 | 廊下・トイレ・浴室・玄関などへの取り付け |
| 段差の解消 | 敷居の撤去、スロープの設置など |
| 床材の変更 | 滑りにくい素材への張り替え |
| 引き戸への変更 | 開き戸をレバーハンドル式や引き戸に変更 |
| 洋式便器への交換 | 和式トイレを洋式に変更 |
これらを組み合わせて、合計20万円の範囲内で使えます。
申請の流れ(5ステップ)
ステップ1:要介護認定を受ける
住宅改修費を使うには、まず「要支援1〜2」または「要介護1〜5」の認定が必要です。まだ認定を受けていない場合は、横浜市の各区の区役所か地域包括支援センターに相談しましょう。
ステップ2:ケアマネジャーに相談する
認定を受けたら、担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に「住宅改修を使いたい」と伝えます。ケアマネジャーが「住宅改修が必要な理由書」を作成してくれます。
ステップ3:事前申請をする(ここが最重要!)
工事を始める前に、必ず区役所に事前申請をしてください。
これを忘れると、せっかく工事をしても補助金が一切もらえません。「もう工事してしまった」は認められないのです。現場で何度も「なぜ先に言ってくれなかった」という声を聞いてきました。
事前申請に必要なもの:
- 住宅改修が必要な理由書(ケアマネ作成)
- 工事の見積書
- 工事場所の写真(工事前)
- 工事図面や仕様書
ステップ4:工事を実施する
事前申請が承認されてから工事を行います。工事の前後で写真を撮っておきましょう。
ステップ5:事後申請で費用を受け取る
工事完了後、領収書や工事後の写真などを添えて事後申請を行います。審査が通れば、自己負担分を除いた金額が戻ってきます(受領委任払いの場合は業者が直接受け取ることも可能)。
横浜市の窓口情報
横浜市は18区ある大都市です。住宅改修費の申請は、お住まいの区の区役所保険年金課が窓口です。ケアマネジャーがまだ決まっていないなど、相談から始めたい場合は同じ区役所の高齢・障害支援課(または地域包括支援センター)に声をかけてください。
また、どこに相談すればいいかわからない場合は、市内に約190か所ある横浜市地域包括支援センターに電話するのが最短ルートです。センターのスタッフが、ケアマネ探しから申請の流れまでまとめて案内してくれます。
- 各区の区役所高齢・障害支援課(お住まいの区にお問い合わせください)
- 横浜市地域包括支援センター(市内約190か所)
横浜市公式の窓口検索は「横浜市 地域包括支援センター 一覧」で検索すると見つかります。
PT実体験:訪問リハビリで見た住宅改修の失敗
訪問リハビリの現場で何度も見てきた「もったいない失敗」をお伝えします。
失敗1:使われない手すりができあがる
「廊下に手すりをつけました」と言われて訪問すると、本人が全然使っていないケースがあります。なぜかというと、手すりの高さが合っていなかったり、つかまりたい場所とズレていたりするのです。
手すりは「その人の動き」に合わせないと意味がありません。工事前にPTや作業療法士(OT)に動きを見てもらい、「この高さ・この場所に」と決めてから発注するのが正解です。
失敗2:今の状態だけに合わせて設計してしまう
今は少し不安定なだけだからと、最小限の工事をした結果、数年後に「やはり段差も解消したい」となっても、20万円の枠をほぼ使い切っていて追加工事に補助が使えない——というケースもあります。
将来の体の変化を見越した設計を、最初から相談しておくことをおすすめします。
20万円を立て替えなくていい「受領委任払い」
横浜市を含む多くの市区町村で、これが使えます。 でも、知らずに全額立て替えている方がとても多いです。
2つの払い方があります
| 償還払い(原則) | 受領委任払い | |
|---|---|---|
| 工事のとき払う額 | いったん全額 | 自己負担分だけ |
| 20万円の工事なら(1割負担) | 20万円を用意 | 2万円でよい |
| 残りのお金 | 後から市が返してくれる | 市が業者へ直接払う |
| 戻るまでの期間 | 1〜2か月かかることも | — |
同じ工事、同じ自己負担額です。違うのは「一度に用意するお金」だけ。
なぜ、これが大きいのか
年金で暮らしている方にとって、20万円をいったん出すのは重いです。
「お金が戻ってくるのは分かっている。
でも、いま20万円は出せない」
これで工事をあきらめてしまう方が、実際におられます。
受領委任払いなら、2万円で同じ工事ができます。
ただし、条件がひとつあります
業者が「登録事業者」でないと使えません。
横浜市の場合、市が作る名簿に載っている事業者が対象です。市の研修を受けた業者だけが載ります。
工事そのものは、登録事業者でなくてもできます
でも「受領委任払い」を使うなら、登録事業者を選ぶ必要があります
ここが落とし穴です。
業者を決めてしまった
↓
その業者が登録されていなかった
↓
受領委任払いが使えない = 全額立て替え
だから、業者を決める前に聞いてください
「受領委任払いは使えますか?」
この一言だけで十分です。 業者を決めたあとでは遅いので、最初の見積もりのときに聞いてください。
ケアマネジャーに「受領委任払いが使える業者さんを紹介してください」と頼むのが、いちばん早い方法です。
制度の名前や条件は市区町村によって異なります。横浜市以外にお住まいの方は、「介護保険とは別に、立て替えなくていい払い方はありますか」と窓口で聞いてみてください。
横浜市ならではのポイント(公式情報)
全国共通の制度ですが、横浜市には便利な独自運用があります。
- オンライン申請に対応:横浜市では、住宅改修費の事前申請・事後申請をオンラインで行えます(来庁不要)。仕事や介護で区役所に行く時間が取りにくい方には大きなメリットです。
- 受領委任払いも選べます:全額立て替える償還払いのほか、自己負担分(1〜3割)だけを払えばよい受領委任払いも利用できます。
- 窓口は各区役所の保険年金課。最新の様式・手続きは公式ページで確認できます → 横浜市:介護保険の住宅改修費について
🏠 現場からの実感:訪問リハビリの現場で住宅改修に何度も立ち会ってきた経験から言うと、横浜市は区が多いぶん制度の運用も整っていて、オンライン申請が使えるのは現役世代が親の改修を進めるうえで本当に助かります。まずは担当ケアマネか区役所保険年金課に相談を。
まとめ
- 横浜市で介護保険の住宅改修費を使うには、事前申請が絶対に先
- 申請窓口は各区の区役所保険年金課。相談は高齢・障害支援課、または地域包括支援センター(約190か所)
- 工事前にPTに動きを見てもらうと「使われる手すり」になる
- 上限20万円の枠は将来を見越して使うのがおすすめ
制度は使って初めて意味があります。「申請が難しそう」と思ったら、まず地域包括支援センターに電話してみてください。
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著者プロフィール けいすけ / 理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。医療と不動産、両方の現場から「親の家、どうする?」を考えます。
📖 Kindle本:『訪問リハビリで見た、老後の住まいの「正解」と「嘘」』(¥500 / KU読み放題対象)
制度の内容・様式・受領委任払いの登録事業者名簿は、年度によって変わることがあります。必ず担当のケアマネジャー、またはお住まいの区役所(保険年金課)の窓口でご確認ください。




