アパート大家の相続税は普通の税理士では危ない——家族法人で10年以上の大家が感じた「不動産専門」の必要性 相続

アパート大家の相続税は普通の税理士では危ない——家族法人で10年以上の大家が感じた「不動産専門」の必要性

「うちは家族で法人を作ってアパートを持っているんだけど、相続のことを考えると頭が痛い」

大家仲間からこういう相談をよく受けます。うちも家族法人として不動産経営をして10年以上。正直なところ、相続のことを真剣に考え始めたのはここ数年のことです。

勉強していくなかで痛感したのが、アパートなど収益物件を持つ大家の相続税は、一般家庭とは別次元で複雑だということです。そして、その複雑さに対応できる税理士と、そうでない税理士では、申告の質に大きな差が出ます。

この記事では、大家として相続税の問題を考えてきた経験をもとに、「不動産専門の税理士が必要な理由」と「選び方のポイント」を整理します。


1. 大家の相続税が一般家庭より複雑な理由

まず、なぜ大家の相続税が複雑なのかを説明します。

一般的な家庭の相続財産は「現金・預金・株・自宅」が中心です。これでも十分複雑ですが、大家の場合はここにさらに以下が加わります。

貸家建付地(かしやたてつけち)の評価

他人に土地や建物を貸している場合、その土地の評価額は「自分だけで使っている土地」より低く計算されます。これを「貸家建付地」と言います。入居者がいるアパートの敷地などがこれに当たります。評価が下がる分、相続税が減るので有利なのですが、計算が複雑で、しっかり適用されているかどうか確認が必要です。

借地権・借家権の取り扱い

土地や建物を誰かに貸しているときは、借りている側にも「借りる権利(借地権・借家権)」があります。この権利の存在が土地の評価に影響します。計算を間違えると評価額が変わり、税額が変わります。

法人との関係整理

家族法人で不動産を持っている場合、個人の財産と法人の財産を切り分けて考える必要があります。法人の株式の評価にも不動産の価値が影響するため、個人と法人の両方を見通せる税理士でないと全体像がつかめません。

収益計算と相続税計算の連動

アパートには毎年の家賃収入があります。相続のタイミングで「誰がどの物件を引き継ぐか」によって、その後の収益と税負担が大きく変わります。相続税の申告だけでなく、その後の収益シミュレーションまで見てくれる税理士かどうかが重要です。


2. 一般の税理士では対応しきれないケースとは

税理士は国家資格を持つ専門家ですが、専門分野は人によって違います。

法人の決算や確定申告が得意な税理士、医療機関の税務が得意な税理士、相続専門の税理士——それぞれ経験の積み重ね方が違います。

一般の税理士が不動産大家の相続税申告で対応しにくい場面としては、こんなケースがあります。

  • 複数の物件が複数の名義(個人・法人・共有など)に分散しているとき
  • 土地の形が複雑で、評価額の減額計算が必要なとき
  • 小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)の適用判断が必要なとき
  • 相続人同士で物件の分け方を決める必要があるとき(誰がどの物件を引き継ぐかで税額が変わる)

「相続税の申告ができる」と「大家の相続税を最適に申告できる」は、別の話です。


3. 家族法人で10年以上の大家として実感した「不動産に詳しい税理士」の重要性

うちの家族法人でも、毎年の決算は顧問税理士にお願いしています。法人化もすでに済ませ、相続にも強い先生なので、その点はとても頼りにしています。ただ、不動産経営に特化しているわけではありません。

相続まで具体的に見据えると、税理士にもそれぞれ得意分野があると感じます。同じ税理士でも、農業や一般的な相続に強い先生もいれば、不動産の評価に特化して強い先生もいます。大家として収益物件の相続を考えるなら、この「不動産の評価に強い視点」を持った先生に相談できるかどうかが効いてきます。

相続は「そのとき」だけの問題ではなく、日頃の不動産経営の判断の積み重ねが相続税に影響します。もちろん、税理士はあくまで税務の専門家で、経営の判断そのものは大家自身が担うものです。ただ、その判断が税金にどう跳ね返るかを税務の面から見てもらえる先生がいると心強い。だからこそ、「相続が起きてから探す」のではなく、経営しているうちから相続を見据えて相談できる税理士と関係を作っておくことが理想だと感じています。


4. 大家が税理士を選ぶときのチェックポイント

では、具体的に何を確認すればよいか。大家として相続税の税理士を探すなら、以下を確認することをおすすめします。

①不動産大家の相続税申告の経験があるか

「収益物件を持つ方の相続税申告の経験はありますか」と直接聞きましょう。件数が多いほど経験が豊富です。

②貸家建付地の評価や小規模宅地等の特例(貸付事業用)に慣れているか

専門的な言葉ですが、「アパートの土地の評価を適切に下げてもらえるかどうか」という意味です。「貸付事業用宅地の特例を使ったことがありますか」と聞くだけで、経験の有無がだいたいわかります。

③法人と個人の両方を見てもらえるか

法人の顧問契約ができるか、個人の相続税と法人の関係を一体で考えてもらえるかを確認します。

④費用の明示があるか

不動産が含まれる相続税申告は、物件数によって費用が加算されることが多いです。「物件が〇〇件ある場合の費用の目安を教えてください」と聞いて、明確に答えてくれる先生を選びましょう。

税理士を探す際は、税理士ドットコムのような紹介サービスを使うと、「相続」「不動産」などの条件で絞り込めて便利です。初回相談が無料の先生も多いので、まず話を聞いてみることから始めるのがおすすめです。


まとめ

アパートや収益物件を持つ大家の相続税は、一般家庭と比べて複雑です。

  • 貸家建付地・借地権・法人との関係など、不動産特有の論点がある
  • 一般的な税理士では対応しきれないケースがある
  • 不動産大家の相続税に慣れた税理士を、相続が起きる前から探しておくのが理想

「うちは大した資産じゃないから」と思っていても、土地や建物が絡むと相続税は意外と大きくなることがあります。早めに専門家に相談することが、結果的に一番の節税になります。

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けいすけ(運営者)

理学療法士(訪問リハビリ歴10年以上)× 宅地建物取引士 × 賃貸不動産経営管理士 × 大家歴10年以上。 医療と不動産、両方の現場から見えてくる「親の家のリアル」を、なるべくフラットな視点で発信しています。